恵みの風

“すべて、疲れた人、重荷を負っている人は、わたしのところにきなさい。わたしがあなたがたを休ませてあげます。”(イエス・キリスト) 兵庫県三田市 北摂恵みバプテスト教会よりお届けします。

2011年9月28日水曜日

内を外で現す

 「人を外見で判断してはいけない」とはよく言われることですが、外見やうわべでその人を決めつけてしまいやすいですね。
 さて、鎌倉時代の執権、北条泰時の弟である北条重時が、鎌倉武士のたしなみに関して次のようなことを書いているそうです。「人前に出る時は、念入りに鏡を見て、服装その他乱れはないか、着こなしはよいか、よくよく改めなければならぬ。いったん人中に出たら、衣服をつくろったり、気を抜いてはいけない。人に笑われたり、軽く見られないためである。内にある時、身を装うのにどれほど手間暇かけてもよいというのはそのためである」。鎌倉時代の武士も出かける前は大変だったようです。
 もちろん、自分を飾って自分を自分でないように装ったり、他人を見下げたりするのは別ですが、私たちも外見を装うことは大事なことではないでしょうか。ただ服装ということだけではなく、言葉使いや、ちょっとした行動などです。聖書においても、俗悪な言葉や下品な冗談を避けること、塩味のきいた言葉や親切な言葉を使うことを勧めています。また「あいさつ」も大切だと言っています。
 私たちは、自分の内にあるちょっとした思いやりを、外に出すことによって、まわりの人々に「いい気分」を提供できます。そして、それは自分に返ってくるものです。ですから、単に外見をよく見せようということではなく、良き外見を通して互いにちょっとした喜びを分かち合うこと、これがすばらしいですね。

お暇ですか?

 ガブリエル・マルセルは「マルセルにおける人間の研究」という著書の中で、「あらゆる動物のうちで、考える力をもっているのは人間だけである。ところが、あらゆる動物のうちで考える暇を持たないのも人間だけである」と警告しています。
 私たちの日々の生活も「暇」のない生活ではないでしょうか。子どもから大人まで、いろいろなスケジュールに支配され、ちょっと残った時間もテレビなどに取り上げられてしまう、余裕のない時代になりました。作家のピーターソンは暇な時間について、「潜在意識はコンロのようなもので、われわれがぼんやりしている間に考えがとろとろと煮えてくるのである。ニュートンはぶらぶらしているときにリンゴが落ちるのを見て、引力を発見するきっかけをつかんだ。ガリレオはゆったりと大きな吊りランプが揺れているのを見ながら、振り子の運動原理に気づいた。ワットは台所でくつろぎながら、ヤカンのふたを蒸気が押し上げているのを見て、蒸気機関を思いついたのである。
多くの場合、机に八時間かじりついているよりも、二時間ほどぼんやりしている方が、質量共に勝るアイデアが得られるものなのだ」と言っています。
 キリストは、弟子たちが食事をする時間もなく働いているのをごらんになり「寂しいところへ行って、しばらく休みなさい」と言われました。休む時間、ぼんやりする時間、無為の時間、これらこそ私たちをリラックスさせ、考える力、働く力を養ってくれるのです。